ウェイトバック集計とは?アンケート分析やマーケティングで役立つ手法を解説

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小坂商店

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ウェイトバック集計とは?アンケート分析やマーケティングで役立つ手法を解説

この記事ではアンケート分析やマーケティングで役立つ手法「ウェイトバック集計」について解説します。

✓何がわかるか


データ分析において、「集計の偏りを補正したい」「実態に近い分布を推定したい」といった課題に直面することは多々あります。そんなときに役立つのが「ウェイトバック集計」という手法です。

この記事では、ウェイトバック集計の基本的な考え方から、実際にどのような場面で活用されるのか、わかりやすく解説します。

✓概要

仕ウェイトバック集計とは、調査データの偏りを補正するために、母集団の構成比にあわせてウェイト(重み)をかけて集計する手法です。

たとえば、下記のようなアンケートを行ったとします。

調査目的:北海道エリアで販売している商品の認知度調査
調査対象:北海道在住 20代~60代 男女
割付セル:年代10代刻み5セル × 男女2セル = 合計10セル
回収数:各セル200サンプル、合計2000サンプル

このように均等回収を行った際、回収したデータはもちろんそのままでも集計して確認することが出来ます。
ここに実際の人口構成などの母集団情報をもとに補正をかけて、より現実に近い数値を導くのがウェイトバック集計です。

✓どう使うか(具体例)

具体例として、年代別のアンケート結果を補正してみます。

仮に、今回のような均等回収の場合、比率は下記のようになります:

年代回答者比率
(今回は回答者の年代構成)
20代20%
30代20%
40代20%
50代20%
60代20%

一方で、実際の市場(母集団)の年代構成が以下の通りだったとします:

年代母集団比率
(今回は市場の年代構成)
20代10%
30代15%
40代20%
50代25%
60代30%

このまま集計すると、本来人数が多いはずの60代は少なく、20代の意見は過度に反映されてしまいます。そこで各年代の回答に補正係数(ウェイト)をかけて調整します。

補正係数の求め方(単純ウェイト法)
補正係数 = 母集団比率 ÷ 回答者比率
年代母集団比率
(市場の年代構成)
回答者比率
(回答者の年代構成)
数式補正係数
20代10%20%10/200.5
30代15%20%15/200.75
40代20%20%20/201
50代25%20%25/201.25
60代30%20%30/201.5

この補正係数(ウェイトバック係数)をもとに、各回答のスコアにウェイトをかけて集計すれば、実態に近い推定値が得られます。

✓Excelでウェイトバック係数を算出する流れ

ここからはExcelでウェイトバック係数を算出する手順を解説します。
まずはウェイトバック集計を行いたい回答データを、【居住地・年代・性別】などのデータをもとに各セルに割り付けます。

これが回答者比率となります。

次に母集団比率を算出します。

上記のように【居住地・年代・性別】のみのデータであれば、政府統計で出している人口台帳を使うのが、信頼性や手間の面で便利です。
また、政府統計の人口台帳を使う場合、筆者がExcelで使うためのシミュレーターを作成しましたので、ぜひお使いください。

外部リンク:https://kosaka-shouten.com/wbtool

これが母集団比率となります。

この2つの比率を割ることで、補正係数(ウェイトバック係数)を算出できます。

この係数が1サンプルに対するウェイト(重み)となります。
人数が少ない母集団(例えば若年層)は1サンプルが軽くなります。(係数が0.8なら、1人で0.8人分の回答)
逆に人数が多い母集団(例えば高齢者)は1サンプルが重くなります。(係数が1.2なら、1人で1.2人分の回答)

こうすることで、実際の人数に合わせた結果に近付けることがウェイトバック集計の目的となります。

今回は一例として均等回収した調査データを母集団比率に合わせましたが、回答者の年代が偏っていた(例:若年層が多く、中高年層が少ない)場合にもウェイトバック集計は有効です。

✓ウェイトバック集計が活躍するシーンと注意点

■活躍するシーン

  1. アンケート調査の結果補正:
    特にネット調査などで、母集団との乖離が出やすい場合に活用されます。
  2. マーケティング分析:
    ターゲット層ごとの市場規模に基づいて、反応率などを実態に即して評価できます。
  3. 顧客データ分析:
    CRMやキャンペーン分析で、特定の属性が過剰に現れているサンプルを補正する際にも有効です。

■注意点

  1. 母集団情報が必要不可欠:
    正確なウェイトバックには、正確な母集団比率(国勢調査など)が必要です。
    政府統計の人口台帳を使う場合は、筆者の作成しているシミュレーターが便利です。
  2. 過剰な補正に注意:
    極端な補正係数は、結果を歪めることもあるため、検討とバランスが重要です。
    特にウェイトバック係数が2を超えたあたりから、数値的にも感情(1人の回答=2人分の回答はいかがなものか…といった疑惑)的にも、歪みが大きくなっていきますので気を付けたほうがいいです。
    許容範囲は人によって違いますが、筆者は係数が4を超えたら流石に※印などで注意書きを入れると思います。
  3. 分布全体への適用を意識する:
    単一属性だけでなく、【年代×性別】などのクロス補正を行う場合もあります。
    【居住地×年代×性別】などになると、手間は増えますが実態に近づけている感覚が得られます。
    (大抵の場合はそこまでやったら過剰な気もしますが、とにかく精度を高めたい調査の場合は【居住地×年代×性別】も普通にやります)

✓まとめ

ウェイトバック集計は、「偏ったデータを現実に近づけるための補正手法」です。
適切に使えば、調査やマーケティングにおいてより信頼性の高い意思決定が可能になります。
調査結果を「そのまま信じる」のではなく、「現実に即して読み解く」ために、ウェイトバック集計という考え方をぜひ取り入れてみてください。

外部リンク:https://kosaka-shouten.com/wbtool

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